自賠法|第三章 自動車損害賠償責任保険及び自動車損害賠償責任共済
第二節 自動車損害賠償責任保険契約及び自動車損害賠償責任共済契約
(責任保険及び責任共済の契約)
第十一条 責任保険の契約は、第三条の規定による保有者の損害賠償の責任が発生した場合において、これによる保有者の損害及び運転者もその被害者に対して損害賠償の責任を負うべきときのこれによる運転者の損害を保険会社がてん補することを約し、保険契約者が保険会社に保険料を支払うことを約することによつて、その効力を生ずる。
2.責任共済の契約は、第三条の規定による保有者の損害賠償の責任が発生した場合において、これによる保有者の損害及び運転者もその被害者に対して損害賠償の責任を負うべきときのこれによる運転者の損害を組合がてん補することを約し、共済契約者が組合に共済掛金を支払うことを約することによつて、その効力を生ずる。
第十二条 責任保険の契約は、自動車一両ごとに締結しなければならない。
(保険金額)
第十三条 責任保険の保険金額は、政令で定める。
2.前項の規定に基づき政令を制定し、又は改正する場合においては、政令で、当該政令の施行の際現に責任保険の契約が締結されている自動車についての責任保険の保険金額を当該制定又は改正による変更後の保険金額とするために必要な措置その他当該制定又は改正に伴う所要の経過措置を定めることができる。
(免責)
第十四条 保険会社は、第八十二条の三に規定する場合を除き、保険契約者又は被保険者の悪意によつて生じた損害についてのみ、てん補の責めを免れる。
(保険金の請求)
第十五条 被保険者は、被害者に対する損害賠償額について自己が支払をした限度においてのみ、保険会社に対して保険金の支払を請求することができる。
(保険会社に対する損害賠償額の請求)
第十六条 第三条の規定による保有者の損害賠償の責任が発生したときは、被害者は、政令で定めるところにより、保険会社に対し、保険金額の限度において、損害賠償額の支払をなすべきことを請求することができる。
2.被保険者が被害者に損害の賠償をした場合において、保険会社が被保険者に対してその損害をてん補したときは、保険会社は、そのてん補した金額の限度において、被害者に対する前項の支払の義務を免かれる。
3.第一項の規定により保険会社が被害者に対して損害賠償額の支払をしたときは、保険契約者又は被保険者の悪意によつて損害が生じた場合を除き、保険会社が、責任保険の契約に基づき被保険者に対して損害をてん補したものとみなす。
4.保険会社は、保険契約者又は被保険者の悪意によつて損害が生じた場合において、第一項の規定により被害者に対して損害賠償額の支払をしたときは、その支払つた金額について、政府に対して補償を求めることができる。
(休業による損害等に係る保険金等の限度)
第十六条の二 保険会社が被保険者に対して支払うべき保険金又は前条第一項の規定により被害者に対して支払うべき損害賠償額(第二十八条の四第一項を除き、以下「保険金等」という。)のうち被害者が療養のため労働することができないことによる損害その他の政令で定める損害に係る部分は、政令で定める額を限度とする。
(支払基準)
第十六条の三 保険会社は、保険金等を支払うときは、死亡、後遺障害及び傷害の別に国土交通大臣及び内閣総理大臣が定める支払基準(以下「支払基準」という。)に従つてこれを支払わなければならない。
2.国土交通大臣及び内閣総理大臣は、前項の規定により支払基準を定める場合には、公平かつ迅速な支払の確保の必要性を勘案して、これを定めなければならない。これを変更する場合も、同様とする。
(書面の交付)
第十六条の四 保険会社は、保険金等の請求があつたときは、遅滞なく、国土交通省令・内閣府令で定めるところにより、支払基準の概要その他の国土交通省令・内閣府令で定める事項を記載した書面を当該請求を行つた被保険者又は被害者に交付しなければならない。
2.保険会社は、保険金等の支払を行つたときは、遅滞なく、国土交通省令・内閣府令で定めるところにより、支払つた保険金等の金額、後遺障害の該当する等級、当該等級に該当すると判断した理由その他の保険金等の支払に関する重要な事項であつて国土交通省令・内閣府令で定めるものを記載した書面を前項に規定する請求を行つた被保険者又は被害者に交付しなければならない。
3.保険会社は、第三条ただし書に規定する事項の証明があつたことその他の理由により保険金等を支払わないこととしたときは、遅滞なく、国土交通省令・内閣府令で定めるところにより、支払を行わないこととした理由を記載した書面を第一項に規定する請求を行つた被保険者又は被害者に交付しなければならない。
4.保険会社は、前三項の規定による書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、被保険者又は被害者の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて国土交通省令・内閣府令で定めるものにより提供することができる。この場合において、当該保険会社は、当該書面を交付したものとみなす。
(書面による説明等)
第十六条の五 保険会社は、前条第二項又は第三項の規定により書面を交付した後において、被保険者又は被害者から、国土交通省令・内閣府令で定めるところにより、書面により、保険金等の支払に関する重要な事項(同条第二項の国土交通省令・内閣府令で定める事項を除く。)であつて国土交通省令・内閣府令で定めるもの又は同条第三項に規定する支払を行わないこととした理由の詳細であつて国土交通省令・内閣府令で定めるものについて説明を求められたときは、次項前段に規定する場合を除き、国土交通省令・内閣府令で定めるところにより、当該説明を求めた者に対し、書面により、当該説明を求められた事項を説明しなければならない。ただし、当該説明を求めた者の同意があるときは、書面以外の方法により説明することができる。
2.保険会社は、前項の規定により説明を求められた場合であつて第三者の権利利益を不当に害するおそれがあるときその他正当な理由があるときは、当該説明を求められた事項の全部又は一部について説明をしないことができる。この場合において、保険会社は、説明をしない旨及びその理由を記載した書面を当該説明を求めた者に交付しなければならない。
3.第一項の規定による説明又は前項の規定による書面の交付(次項において「説明等」という。)は、第一項の規定により説明を求められた日から起算して三十日以内にしなければならない。
4保険会社は、事務処理上の困難その他正当な理由により前項に規定する期間内に説明等をすることができないときは、同項に規定する期間内に、第一項の規定により説明を求めた者に対し、書面により、前項に規定する期間内に当該説明等をすることができない理由及び当該説明等の期限を通知しなければならない。
5.保険会社は、第一項の規定による書面による説明、第二項の規定による書面の交付又は前項の規定による書面による通知(以下「書面による説明等」という。)に代えて、政令で定めるところにより、被保険者又は被害者の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて国土交通省令・内閣府令で定めるものにより提供することができる。この場合において、当該保険会社は、書面による説明等を行つたものとみなす。
(支払等の届出)
第十六条の六 保険会社は、保険金等の支払の適正化を図る必要性が特に高いものとして国土交通省令で定める死亡その他の損害に関し、保険金等を支払つたとき又は第十六条の四第三項の規定による書面の交付をしたときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。
(国土交通大臣に対する申出)
第十六条の七 被保険者又は被害者は、保険会社による保険金等の支払又は支払に係る手続に関し、次のいずれかに該当する事実があるときは、国土交通大臣に対し、その事実を申し出ることができる。
一、保険金等の支払が支払基準に従つていないとき。
二、第十六条の四第一項から第三項までの規定による書面の交付を行つていないとき。
三、第十六条の五第一項の規定による説明、同条第二項の規定による書面の交付又は同条第四項の規定による通知を行つていないとき。
(指示等)
第十六条の八 国土交通大臣は、第十六条の六の規定による届出があつた場合、前条の規定による申出があつた場合その他の場合において、保険会社による保険金等の支払又は支払に係る手続が同条各号のいずれかに該当すると認めるときは、当該保険会社に対し、支払基準に従つた支払、第十六条の四第一項から第三項までの規定による書面の交付又は第十六条の五第一項の規定による説明、同条第二項の規定による書面の交付若しくは同条第四項の規定による通知をすべき旨の指示をするものとする。
2.国土交通大臣は、前項に規定する指示を行つたときは、遅滞なく、内閣総理大臣にその旨を通知しなければならない。
3.国土交通大臣は、第一項に規定する指示を受けた保険会社が、正当な理由がなくてその指示に従わなかつたときは、その旨を公表することができる。
4.国土交通大臣は、第一項に規定する指示を受けた保険会社が、前項の規定によりその指示に従わなかつた旨を公表された後において、なお、正当な理由がなくてその指示に係る措置をとらなかつたときは、当該保険会社に対し、その指示に係る措置をとるべきことを命ずることができる。
5.国土交通大臣は、第三項に規定する公表又は前項に規定する命令を行おうとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣の同意を得るものとする。
(被害者に対する仮渡金)
第十七条 保有者が、責任保険の契約に係る自動車の運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、被害者は、政令で定めるところにより、保険会社に対し、政令で定める金額を第十六条第一項の規定による損害賠償額の支払のための仮渡金として支払うべきことを請求することができる。
2 .保険会社は、前項の請求があつたときは、遅滞なく、請求に係る金額を支払わなければならない。
3.保険会社は、第一項の仮渡金の金額が支払うべき損害賠償額を超えた場合には、その超えた金額の返還を請求することができる。
4 保険会社は、保有者の損害賠償の責任が発生しなかつた場合において、第一項の仮渡金を支払つたときは、その支払つた金額について、政府に対して補償を求めることができる。
(差押の禁止)
第十八条 第十六条第一項及び前条第一項の規定による請求権は、差し押えることができない。
(時効)
第十九条 第十六条第一項及び第十七条第一項の規定による請求権は、二年を経過したときは、時効によつて消滅する。
(告知すべき重要な事実等)
第二十条 商法 (明治三十二年法律第四十八号)第六百四十四条 に規定する重要な事実又は事項は、責任保険の契約にあつては、次のとおりとする。
一、道路運送車両法 の規定による自動車登録番号若しくは車両番号、地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第四百四十六条第三項(同法第一条第二項において準用する場合を含む。)に規定する標識の番号又は道路交通に関する条約の規定による登録番号(これらが存しない場合にあつては、車台番号 )
二、政令で定める自動車の種別
(責任保険の契約の解除等)
第二十条の二 責任保険の契約の当事者は、次に掲げる場合に限り、責任保険の契約を解除することができる。
一、当該自動車が第十条に規定する自動車となつた場合
二、商法第六百四十四条 の規定による場合
三、当該自動車について他に責任保険の契約又は責任共済の契約が締結されており、かつ、その契約の保険期間又は共済期間の終期が当該責任保険の契約の保険期間の終期と同一であるかその終期より遅いものである場合
四、その他国土交通省令で定める場合
2.責任保険の契約の当事者は、その契約を合意により解除し、又はその契約に解除条件を附することができない。
3.第一項(第二号に係る部分を除く。)の規定による解除は、将来に向かつてのみその効力を生ずる。
(告知義務違反による契約解除の効力)
第二十一条 商法第六百四十四条の規定により、保険会社が責任保険の契約を解除したときは、その解除は、保険契約者が解除の通知を受けた日から起算して七日の後に、将来に向つてその効力を生ずる。
2.前項の解除の効力が生ずる日前に危険が発生した場合には、商法第六百四十五条第二項の規定にかかわらず、保険会社は、損害をてん補する責に任ずる。この場合において、保険会社が損害をてん補したときは、保険契約者に対し、そのてん補した金額の支払を請求することができる。
(危険の増加又は減少による契約の変更)
第二十二条 保険期間中に危険が増加し、又は減少したときは、責任保険の契約は、新たな危険に対応する責任保険の契約に変更されたものとみなす。
2.保険契約者又は被保険者は、保険期間中に危険が増加したことを知つたときは、遅滞なく、これを保険会社に通知しなければならない。
3.保険期間中に危険が増加した後に危険が発生し、保険会社が損害をてん補した場合において、保険契約者又は被保険者が前項の通知を怠つていたときは、保険会社は、保険契約者に対し、そのてん補した金額の支払を請求することができる。
4.保険会社は、第一項の場合において、危険が増加したときは、保険契約者に対し、政令で定めるところにより増加する額の保険料の支払を請求することができる。
5.保険契約者は、第一項の場合において、危険が減少したときは、保険会社に対し、政令で定めるところにより減少する額の保険料の返還を請求することができる。
(商法の適用)
第二十三条責任保険の契約については、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、商法第二編第十章第一節第一款の規定による。
(報告及び立入検査)
第二十三条の二 国土交通大臣は、第十一条から前条までの規定の施行に必要な限度において、国土交通省令で定めるところにより、保険会社に対し、責任保険の業務に関し報告をさせ、又はその職員に、保険会社の営業所、事務所その他の施設に立ち入り、責任保険の業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
2.前項の規定により立入検査又は質問をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
3.第一項に規定する立入検査又は質問の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(責任保険の契約に関する規定等の準用)
第二十三条の三 第十二条から第十九条まで、第二十二条及び前条の規定は、責任共済の契約について準用する。この場合において、これらの規定中「責任保険の契約」とあるのは「責任共済の契約」と、「責任保険」とあるのは「責任共済」と、「保険金額」とあるのは「共済金額」と、「保険会社」とあるのは「組合」と、「保険契約者」とあるのは「共済契約者」と、「被保険者」とあるのは「被共済者」と、「保険金」とあるのは「共済金」と、「保険金等」とあるのは「共済金等」と、「保険期間」とあるのは「共済期間」と、「保険料」とあるのは「共済掛金」と、第十六条の二中「前条第一項」とあるのは「第二十三条の三第一項において準用する第十六条第一項」と、「第二十八条の四第一項を除き、以下」とあるのは「以下」と、第十六条の五第一項中「前条第二項又は第三項」とあるのは「第二十三条の三第一項において準用する第十六条の四第二項又は第三項」と、第十六条の六中「第十六条の四第三項」とあるのは「第二十三条の三第一項において準用する第十六条の四第三項」と、第十六条の七第二号及び第十六条の八第一項中「第十六条の四第一項から第三項まで」とあるのは「第二十三条の三第一項において準用する第十六条の四第一項から第三項まで」と、第十六条の七第三号及び第十六条の八第一項中「第十六条の五第一項」とあるのは「第二十三条の三第一項において準用する第十六条の五第一項」と、第十六条の八第一項中「第十六条の六」とあるのは「第二十三条の三第一項において準用する第十六条の六」と、「前条」とあるのは「第二十三条の三第一項において準用する第十六条の七」と、第十六条の八第二項及び第五項中「内閣総理大臣」とあるのは「行政庁(農業協同組合等に係るものを行う場合にあつては第二十七条第一項に規定する行政庁とし、消費生活協同組合等に係るものを行う場合にあつては第二十七条の二第一項において読み替えて準用する第二十七条第一項に規定する行政庁とし、事業協同組合等に係るものを行う場合にあつては第二十七条の二第二項において読み替えて準用する第二十七条第一項に規定する行政庁とする。)」と、第十七条第一項中「第十六条第一項」とあるのは「第二十三条の三第一項において準用する第十六条第一項」と、第十八条中「第十六条第一項及び前条第一項」とあり、第十九条中「第十六条第一項及び第十七条第一項」とあるのは「第二十三条の三第一項において準用する第十六条第一項及び第十七条第一項」と読み替えるものとする。
2.国土交通大臣及び内閣総理大臣は、前項において準用する第十六条の三第一項に規定する支払基準を定め、又は変更しようとするとき並びに前項において準用する第十六条の四並びに同項において準用する第十六条の五第一項及び第五項に規定する国土交通省令・内閣府令を制定し、又は変更しようとするときは、あらかじめ、農林水産大臣、厚生労働大臣及び事業協同組合等の定款において組合員の資格として定められる事業の所管大臣(以下「事業所管大臣」という。)に協議するものとする。
3.商法第六百六十二条及び第六百六十三条の規定は、責任共済の契約について準用する。この場合において、同法第六百六十二条中「保険者」とあるのは「組合」と、「被保険者」とあるのは「被共済者」と、「保険契約者」とあるのは「共済契約者」と、同法第六百六十三条中「保険金額」とあるのは「共済金額」と、「保険料」とあるのは「共済掛金」と読み替えるものとする。
(責任共済の契約の解除)
第二十三条の四 責任共済の契約の当事者は、次の各号に掲げる場合に限り、責任共済の契約を解除することができる。
一、当該自動車が第十条に規定する自動車となつた場合
二、責任共済の契約の当時共済契約者が組合に対し悪意又は重大な過失により第二十条各号に掲げる事項につき、その事項を告げず、又は不実のことを告げた場合
三、当該自動車について他に責任保険の契約又は責任共済の契約が締結されており、かつ、その契約の保険期間又は共済期間の終期が当該責任共済の契約の共済期間の終期と同一であるかその終期より遅いものである場合
四、その他国土交通省令で定める場合
2.第二十条の二第二項の規定は、責任共済の契約について準用する。
3.第二十条の二第三項の規定は、第一項(第二号に係る部分を除く。)の規定による解除について準用する。
4.商法第六百四十四条第一項ただし書及び第二項の規定並びに第二十一条の規定は、第一項第二号の規定による解除について準用する。この場合において、これらの商法の規定中「保険者」とあるのは「組合」と、第二十一条中「保険契約者」とあるのは「共済契約者」と、同条第二項中「保険会社」とあるのは「組合」と読み替えるものとする。

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