自動車損害賠償保障法|第四章 政府の自動車損害賠償保障事業
(自動車損害賠償保障事業)
第七十一条 政府は、この法律の規定により、自動車損害賠償保障事業を行う。
(業務)
第七十二条 政府は、自動車の運行によつて生命又は身体を害された者がある場合において、その自動車の保有者が明らかでないため被害者が第三条の規定による損害賠償の請求をすることができないときは、被害者の請求により、政令で定める金額の限度において、その受けた損害をてん補する。責任保険の被保険者及び責任共済の被共済者以外の者が、第三条の規定によつて損害賠償の責に任ずる場合(その責任が第十条に規定する自動車の運行によつて生ずる場合を除く。)も、被害者の請求により、政令で定める金額の限度において、その受けた損害をてん補する。
2.政府は、第十六条第四項又は第十七条第四項(これらの規定を第二十三条の三第一項において準用する場合を含む。)の規定による請求により、これらの規定による補償を行う。
3.前二項の請求の手続は、国土交通省令で定める。
(他の法令による給付との調整等)
第七十三条 被害者が、健康保険法(大正十一年法律第七十号)、労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)その他政令で定める法令に基づいて前条第一項の規定による損害のてん補に相当する給付を受けるべき場合には、政府は、その給付に相当する金額の限度において、同項の規定による損害のてん補をしない。
2.前条第一項後段の場合において、被害者が第三条の規定による損害賠償の責に任ずる者から損害の賠償を受けたときは、政府は、その金額の限度において、前条第一項後段の規定による損害のてん補をしない。
(差押の禁止)
第七十四条 第七十二条第一項の規定による請求権は、差し押えることができない。
(時効)
第七十五条 第十六条第四項若しくは第十七条第四項(これらの規定を第二十三条の三第一項において準用する場合を含む。)又は第七十二条第一項の規定による請求権は、二年を経過したときは、時効によつて消滅する。
(代位等)
第七十六条 政府は、第七十二条第一項の規定による損害のてん補をしたときは、その支払金額の限度において、被害者が損害賠償の責任を有する者に対して有する権利を取得する。
2.政府は、保険契約者若しくは被保険者又は共済契約者若しくは被共済者の悪意によつて損害が生じた場合において、保険会社又は組合が第十六条第一項(第二十三条の三第一項において準用する場合を含む。)の規定により被害者に対して損害賠償額の支払をしたときは、その支払金額の限度において、被害者が保険契約者若しくは被保険者又は共済契約者若しくは被共済者に対して有する権利を取得する。
3.政府は、保有者の損害賠償の責任が発生しなかつた場合において、保険会社又は組合が第十七条第一項(第二十三条の三第一項において準用する場合を含む。)の規定により被害者に対して仮渡金の支払をしたときは、被害者に対してその返還を請求することができる。
(業務の委託)
第七十七条 政府は、政令で定めるところにより、第七十二条第一項の規定による業務の一部を保険会社又は組合に委託することができる。
2.組合は、次の各号に掲げる規定にかかわらず、前項の規定により委託された業務を行うことができる。
一、農業協同組合法第十条
二、消費生活協同組合法第十条
三、中小企業等協同組合法第九条の二 又は第九条の九
3.国土交通大臣は、第一項の規定による委託をしたときは、委託を受けた保険会社又は組合の名称その他国土交通省令で定める事項を告示しなければならない。
(自動車損害賠償保障事業賦課金)
第七十八条 保険会社、組合及び第十条に規定する自動車のうち政令で定めるものを運行の用に供する者は、国土交通省令で定めるところにより、政令で定める金額を、自動車損害賠償保障事業賦課金として政府に納付しなければならない。
(過怠金)
第七十九条 政府は、第七十二条第一項後段の規定による損害のてん補をしたときは、損害賠償の責に任ずる者に対して、政令で定める金額を過怠金として徴収することができる。
(徴収金の滞納処分)
第八十条 第七十八条の自動車損害賠償保障事業賦課金又は前条の過怠金を納付しない者があるときは、国土交通大臣は、期限を定めて督促をする。
2.国土交通大臣は、前項の規定による督促をするときは、納付義務者に対して督促状を発する。この場合において、督促状により定めるべき期限は、これを発する日から起算して十日以上経過した日でなければならない。
3.第一項の規定による督促は、民法第百五十三条の規定にかかわらず、時効中断の効力を有する。
4.国土交通大臣は、第一項の規定による督促を受けた者が、同項の期限
でに自動車損害賠償保障事業賦課金又は過怠金を納付しないときは、国税滞納処分の例によつて、これを処分する。
(先取特権の順位)
第八十一条 第七十八条の自動車損害賠償保障事業賦課金及び第七十九条の過怠金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐ。
(自動車損害賠償保障事業に関する費用の繰入れ)
第八十二条 政府は、第十条に規定する自動車(第七十八条の政令で定めるもの及び道路以外の場所のみにおいて運行の用に供するものを除く。)について、第七十八条の自動車損害賠償保障事業賦課金に相当する金額を、毎会計年度、予算で定めるところにより、国の他の会計から自動車安全特別会計に繰り入れるものとする。
2.政府は、この法律に規定する自動車損害賠償保障事業の業務の執行に要する経費の一部を、毎会計年度、予算で定めるところにより、一般会計から自動車安全特別会計に繰り入れるものとする。
(報告及び立入検査)
第八十二条の二 国土交通大臣は、第七十八条の規定の施行に必要な限度において、国土交通省令で定めるところにより、保険会社若しくは組合に対し、その業務若しくは経理の状況に関し報告をさせ、又はその職員に、保険会社若しくは組合の営業所、事務所その他の施設に立ち入り、その業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
2.第二十三条の二第二項及び第三項の規定は、前項の規定による立入検査又は質問について準用する。
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